＃００３ ２０１６．０６．２５
L８０２０乳酸菌
テレビ番組で「L８０２０乳酸菌」というむし歯の予防になる乳酸菌を紹介していたので調べてみました。
L８０２０乳酸菌を簡単に説明すると、「むし歯菌・歯周病菌・カンジダ菌の発育を阻止する、殺菌効果のある乳酸菌の一種」 です。
発見・命名したのは広島大学の二川浩樹（ふたがわ ひろき）教授です。二川教授のすごいところは、L８０２０乳酸菌をヨーグルトとして製品化まで
したことです。四国乳業（ブランド名は「らくれん」）
との共同開発で製品化し、現在（２０１６年１１月）も販売しています。四国・中国地方の一部の スーパーやコンビニで
入手できます。（近所（大阪府）のスーパーで発見しました。２０１６年１１月）販売網が弱いのでネットで
購入するのがよいでしょう。公式ネットショップ（http://e-rakuren.jp/）では「8020ヨーグルト」（110g×12個）として１，
４４０円（税込）で販売しています。
L８０２０乳酸菌をもう少し詳しく説明していきましょう。発見の経緯は、精神病院の入院患者さんで十分な歯磨きができていないにもかかわらず、む し歯になったことのない方がいました。二川教授は「このような人の口の中には、むし歯菌抑制効果の非常に強い乳酸菌がいるのではないか」と考えたました。 そこで、学生たちと学生やその知り合いなどの中で、むし歯になったことのない人から唾液を集めて、そこから乳酸菌を分離することにしました。結果、42菌 株の乳酸菌を分離しました。さらに、ターゲットとして歯周病・むし歯そしてカンジダ菌に効果を持つ乳酸菌を探すこととし、42菌株のうち、歯周病菌の抑制 効果の高い菌を選びました。最終的にむし歯菌とカンジダ菌の両方に効果のある3菌株が得られました。この3菌はLactobacillus rhamunosus，L. casei，L. paracaseiであることがわかりました。
二川教授が苦労したのはここからです。それは、ヒト試験で効果を確認するために実際にヨーグルトを作ってくれる会社探しでした。何社かを当たって
も承諾されない中、四国乳業を紹介され，ヒト試験にこぎつけることができました。四国乳業の試験の中で，風味や味の点から，最終的に乳酸菌のL.
rhamunosus（ラクトバチルスラムノーザスKO3株）を使用してヨーグルトを作製することになりました。
ヒト試験は、学生ボランティア50名が毎日昼休みに1個、2週間食べるというもので、「新しいヨーグルト」を食べたグループでは、むし
歯菌は80%以上、4種類の歯周病菌は40〜90%減少させる効果が認められ、むし歯菌と歯周病菌を同時に抑制する効果が実証されました。
このようにむし歯菌と歯周病菌の両者に効果を示す乳酸菌の報告はこれまでになく、国民の口の健康を守りたいという思いを込めて「L8020菌」と
8020ヨーグルトという名前を付けました。
ここで素朴な疑問です。「8020ヨーグルトを食べていれば歯磨きをしなくてもよいのか？」ということです。答えは「ＮＯ」です。「歯磨きは歯の 表面に形成されるプラーク（むし歯や歯周病の原因となる、ばい菌の塊）を除去するのに大切です。ヨーグルトを食べてプラークを採るわけではありません。歯 磨きはこれまで通り必要です。」とのことです。
むし歯の歯周病の予防のために、食後に歯磨きをした後、「8020ヨーグルト」を食べるということが一般的になる日がくるかもしれません。
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