#010 2016.10.30
短鎖脂肪酸を生成するフィーカリバクテリウムが高カカオチョコレートの摂取で増加する
便通の改善や生活習慣病の予防などに効果があるとされる善玉菌のフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィが高
カカオチョコレートの継続的摂取で増加す
るという研究が結果が2016年9月29日に帝京大理工学部の古賀仁一郎准教授によって発表されました。
研究の概要
20〜50歳の便秘を自覚する女性(週平均排便回数;4回以下)が高カカオチョコレートを、一日25g、2週間連続で摂取しました。平均排便回数
が2.
8回/週から4.9回/週に向上し、便通の改善が示されました。
便通の改善が見られたことから、高カカオチョコレートは腸内環境に何らかの影響を与えると推測されたため、今回、メタゲノム解析(※1)を行うことで摂
取前から摂取2週後の腸内フローラの変化について評価しました。
本研究により、高カカオチョコレートを摂取すると腸内フローラのうち、フィーカリバクテリウム属の腸内細菌(フィーカリバクテリウム・プラウスニッ
ツィ:Faecalibacterium prausnitzii)が腸内細菌全体に占める割合を増加させることを確
認しました。
フィーカリバクテリウム属の細菌は、大腸内で短鎖脂肪酸(特に酪酸)を大量に産生する善玉菌として知られ、抗アレルギー、抗炎症にも働くという報告もな
されています。また、一部の例外を除いて、この菌の増加(占有率の増加)は腸の健康の向上を表すことがこれまでの様々な研究により示されています。本結果
により、高カカオチョコレートには、便のかさ増し効果による便通の改善効果だけで無く、フィーカリバクテリウムのような善玉菌の割合を増やすことで、腸内
環境をより健康にする効果を示す可能性が示唆されます。
フィーカリバクテリウムを増やす食品
つまり「フィーカリバクテリウムを増やす食品は?」との問には高カカオチョコレート(カカオ72%以上が目安)となります。通常のチョコレート(ホワイ
トチョコレート)にもわずかに効果が見られますが、継続摂取の観点から見ると糖分や油脂を摂りすぎることになるのでおススメできません。
短鎖脂肪酸と腸内細菌
短鎖脂肪酸とは脂肪酸の一部で酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、コハク
酸を指します。
短鎖脂肪酸の効果についてはさまざまな研究結果があります。例をあげると、肥満の予防と解消、糖尿
病の予防と改善、食欲の抑制、免疫機能の向上、が
んの
予防、花粉症・アトピーの予防と改善、動脈硬化の予防などがあ
ります。
一種類の腸内細菌が、一種類の短鎖脂肪酸を生産するわけではありません。いろいろな種類の腸内差に菌が複数の短鎖脂肪酸を生産します。たとえば、ビフィ
ズス菌は酢酸と乳酸を多く生産します。いわゆる乳酸菌は高い割合で乳酸を生産します。今回紹介したフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィは高い割合で
酪酸を生産します。
取り入れたい健康効果から必要な腸内細菌を調べて、食物やサプリで摂取してみてはいかがでしょうか?当サイトでは乳酸菌・ビフィズス菌を増やすた
めの方
法やサプリを紹介しています。
※1)メタゲノム解析:土壌、口腔、腸内では様々な種類の菌からなる菌叢が構成されています。これらの菌叢から抽出したDNAをまるごと解析する方法で
す。未知の細菌や、これまで検出が困難であった難培養性菌なども測定できる方法です。
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